健康保険証の期限到来、マイナンバーカードへの移行進む

2025年7月末で健康保険証の利用期限が終了

2025年7月末をもって、国民健康保険および後期高齢者医療制度の健康保険証が利用期限を迎えた。これにより、医療機関での保険証としての利用が正式に終了し、マイナンバーカードへの一本化が本格的にスタートした。厚生労働省によると、この移行はデジタル化による行政効率化と、医療サービスの利便性向上を目指すものだ。しかし、国民の間では賛否両論が巻き起こっている。 マイナンバーカードへの移行は、2024年から段階的に進められてきたが、7月末の期限到来により、医療機関での受付手続きが大きく変わった。マイナンバーカードを利用することで、患者の医療情報がクラウド上で一元管理され、過去の診療履歴や薬剤情報を医師が迅速に確認できるようになった。これにより、例えば転院時の情報共有がスムーズになり、医療ミスのリスク低減が期待される。また、オンラインでの保険資格確認も可能になり、受付の待ち時間短縮にもつながっている。 一方で、課題も浮き彫りになっている。高齢者を中心に、マイナンバーカードの取得や利用に不慣れな人が多く、移行に戸惑う声が少なくない。厚生労働省は、カード未取得者向けに特例措置として「資格確認書」を発行しているが、これも一時的な対応に過ぎない。また、個人情報の漏洩リスクを懸念する声も根強い。政府はセキュリティ対策を強化していると強調するが、過去のデータ漏洩事件を背景に、国民の信頼獲得には時間がかかりそうだ。 この移行は、医療だけでなく行政全体のデジタル化を加速する一歩とされている。今後は、マイナンバーカードを活用した新たなサービス展開も予定されており、例えば税務手続きや社会保障申請の簡素化が期待される。しかし、デジタルデバイド（情報格差）の解消が急務だ。政府は、地方自治体と連携し、カードの取得支援やデジタルリテラシー向上のための講座を拡充する方針を示している。国民一人ひとりが新しいシステムに適応できるよう、丁寧なサポートが求められる時期だ。